2025年12月7日 梅光学院同窓会クリスマスメッセージ「隠されている神の愛」加藤真衣子牧師

日本基督教団下関教会 加藤真衣子牧師

2025年12月7日、シーモールパレス エメラルドの間にて、第3回「会員の集い」を開催いたしました。

今年のクリスマス礼拝での、日本基督教団下関教会 加藤真衣子牧師によるメッセージを掲載いたします。

日本基督教団下関教会 加藤真衣子牧師
日本基督教団下関教会 加藤真衣子牧師(撮影:福田信子)

説教題:「隠されている神の愛」
聖書:ルカによる福音書2:8~20


『三本の木』という絵本があります。省略しながら紹介します。

昔、ある山のてっぺんに、3本の木がたっていました。小さな木たちは、大きくなったら何になりたいか、それぞれに夢がありました。一番目の木は「世界一きれいな宝の箱になりたい」と思っていました。二番目の木は「世界一大きな船になりたい」と思っていました。三番目の木は「世界一背の高い木になりたい」と思っていました。

何年かたった、ある日のこと、3人の木こりがやってきました。それぞれの木を切り倒しました。一番目の木は大工の仕事場に運ばれました。大工が作ったのは、家畜のえさを入れる箱(飼い葉おけ)でした。一番目の木は陽のあたらない場所で、家畜と共に過ごしました。二番目の木は造船所に運ばれて、小さな小舟につくられました。大きな海になんか出られません。二番目の木は小さな湖で、小さな小舟になって、生臭いお魚を運ぶ毎日となりました。三番目の木は材木にされて、何かに使われるわけではなく、小屋の隅っこに置かれたままになってしまいました。

それから何年も何年もたちました。ある夜、一番目の木はベツレヘムという小さな村で金色の光に照らされました。一人の少女が、生まれたばかりの赤ちゃんを家畜のえさ箱(飼い葉おけ)に寝かせたのです。その赤ちゃんのもとに、羊飼いや、東の国から博士たちが来て礼拝をしています。天使たちの姿も見ることができました。その時はじめて、一番目の木は気づきました。「自分は世界で一番尊い宝ものをお入れしているんだ」と。

それから何年かが過ぎて、一人の人と、12人の弟子たちがやってきて、小舟になった二番目の木に乗り込みました。小舟が湖の上を滑りだすとまもなく、嵐になってしまいました。二番目の木は震えました。ところが、その一人の人が立ち上がって手を伸ばし「嵐よ、静まれ!」と言いました。すると嵐がやんだのです。その時はじめて二番目の木は気づきました。「自分は、天と地をおさめる本当の王様をお乗せしているんだ」と。

小屋の隅に置き去りにされていた三番目の木はどうなったのでしょう。

ある金曜日のことです。一人の人が捕らえられ、たくさんの群衆にあざけられ、ののしられ、十字架につけられることになりました。三番目の木は、その人がつけられる十字架の柱となったのです。木は恐ろしくて震えました。

それから3日目の日曜日の朝です。三番目の木の足元で、大地が喜びで震えています。十字架で死んだあの人イエスさまが、よみがえったのでした。三番目の木は「神さまの愛ですべてが変えられたんだ」と、その時はじめて知ったのです。

3本の木は、むかし自分たちが望んでいたようには、ちっともなりませんでした。普通に考えると、納得のいかない人生です。けれども自分の願っていた以上の人生を与えられました。不思議なかたちで、それぞれが神さまの御用のために用いられることになったのです。

わたしたちも、自分はこうありたいと思うし、こんな人生を送りたいと思います。夢をもつことはとっても良いことです。しかし夢をかなえることが出来なかったら、その人の人生は失敗でしょうか。

たとえば今年一年をふりかえってみてください。皆さまたち、どのような1年でしたでしょうか。今年はいいことばかりの1年だったという方もいらっしゃるかもしれません。もしかしたら、今年は病気もしてしまったし、思うように生活できなかったという方もいらっしゃるでしょう。では皆さんの今年一年は、残念な1年だったのでしょうか。そうではありません。神さまの御心は、私たちの願いや思いや私たちの計画を超えて、神さまが一番よいことを、一番よいときにしてくださるからです。「あなたの存在が、なによりも大事です」、「わたしにゆだねなさい。あなたも、あなたの家族も、わたしが祝福する」と聖書を通して神さまおっしゃっておられます。

イエスさまがお生まれになったことを最初に知らされたのは、羊飼いたちでした。その頃の羊飼いは、とても貧しい人たちでした。そんな羊飼いたちが、神さまの素晴らしい知らせを最初に受け取るメンバーに選ばれたのです。クリスマスの物語は、小さくて、貧しい出来事ばかりです。小さく貧しい出来事の中に、世界を変える、神さまの大きな愛が隠されているのです。